WR-187の損失を調べるには、正しい断面と帯域、導体・表面、接続部、測定基準面を確認します。WR-187を8.2~12.4 GHzの標準部品として扱うのは誤りです。直管の単位長さ損失と、組立品全体の挿入損失も区別します。
WR-187の内寸と帯域
SPINNERの対照表TD-00036 Issue Xでは、通常断面のWR-187は47.549 × 22.149 mm、1.872 × 0.872インチです。同表の公称範囲は3.94~5.99 GHz、TE10遮断は約3.15 GHzです。公称範囲と個別メーカーの推奨・保証帯域は一致しない場合があります。
空気または真空の理想的な矩形ではfc,TE10 = c/(2a)です。幅aから約3.152 GHzを得ます。WR番号だけで高さを幅のちょうど半分としないでください。低背型も通常断面とは別に指定します。
同じ断面のTE20遮断は約6.305 GHzです。10 GHzでは高次モードが伝搬可能なため、標準TE10運用の単純な比較条件として使えません。
導体損失と導電率
壁面電流による抵抗損失は熱になります。良導体の表面抵抗はRs = √(πfμ/σ)で、同じ形状・モード・周波数での導体減衰はこの表面抵抗に比例します。「表面抵抗の平方根に比例」ではありません。
他の条件を固定して導電率σが10%低下すると、導体損失係数は1/√0.9 ≈ 1.054、約5.4%増えます。全体の挿入損失が同じ比率で変化するとは限りません。
仮に0.020から0.022 dB/mに変化した場合でも、10 mの追加損失は0.020 dBです。0.2 dBではありません。数値例と実測仕様を分けて記録します。
表皮深さと表面粗さ
δ = √[1/(πfμσ)]です。σ = 5.8×107 S/m、μ = μ0とした銅では5 GHzで約0.935 μmです。導電率と周波数を示さず一律1.33 μmとしません。
粗さは表面電流と損失に影響しますが、RaとRMS粗さは同じ指標ではありません。特定の粗さモデルの入力を混同せず、表面形状と適用範囲を確認します。Raが一定値を超えると必ず0.1 dB/cm増えるという共通則はありません。
めっきの厚さ、連続性、下地と接触面も重要です。酸化層を単純な一様誘電体として扱う場合は、厚さと電気特性の根拠が必要です。
フランジ、曲がりとモード
段差、開口のずれ、面の隙間や曲がりは反射とモード変換を起こす場合があります。局所的なエバネッセント場も整合に関係しますが、それ自体を遠方へ運ばれる損失電力と同一視しません。
伝送の低下には反射、導体・誘電体の散逸、漏れや他モードへの伝送が含まれ得ます。S21が下がった電力のすべてが直管内で熱になったとは断定できません。
挿入損失の測定
- 型式、長さ、帯域と測定するモードを定めます。
- 適切な導波管校正または特性評価した変換器で基準面を決めます。
- S11とS21を帯域全体で測ります。
- 再接続と取付け条件による変化を確認します。
- 必要なら異なる長さを比較し、接続損失と長さ依存を検討します。
低損失部品では校正残差や接続のばらつきが対象損失に近くなることがあります。表示桁数だけで0.01 dBの精度を保証しません。低電力測定と高電力時の温度・耐電力試験も別です。
改善と記録
清浄度、接合面、変形と適切な支持を先に確認し、図面・手順に従って修正します。内部を無断で研磨して寸法やめっきを変えないでください。
寸法・帯域の出典はSPINNER TD-00036 Issue X、2026年1月14日、4ページです。導波管の関係式と併せ、材料、温度、校正と実測値を報告します。