スプリッタは電力を出力へ分配し、方向性結合器は主線路から所定の割合を取り出して進行方向を区別します。分配による低下、過剰損失、隔離と方向性は別の指標です。アンテナカプラが整合器を指す場合もありますが、ここではRF信号の結合・分配部品を扱います。
1.等分配と小さな取り出し
理想的に整合したN分配器では各等分出力が入力の1/Nとなり、低下量は10 log10 N dBです。2分配で3.01 dB、4分配で6.02 dB、8分配で9.03 dBとなり、実機の追加損失は別です。
理想的な20 dB結合器は電力の1%を取り出します。主線路に残る99%は約0.044 dBの低下であり、20 dBが主線路通過損失ではありません。実際には反射や散逸も評価します。
仕様の挿入損失に分配量が含まれているか確認し、同じ低下を二重に加算しないでください。50 dBmは100 Wで、家庭用受信分配の一般的な入力例に使う値ではありません。
2.隔離と方向性
分配器の出力間隔離は、ほかのポートを指定どおり終端したときに、ある出力が別の出力へどれほど結合するかを表します。Wilkinson型などは設計帯域で高い隔離を得られ、全製品が10~20 dBに制限されるわけではありません。
方向性結合器では同じポート規約に基づく正のdB量として、方向性D = 隔離I − 結合Cと表せます。C = 20 dB、I = 50 dBならD = 30 dBです。
双方向測定の構成には進行波と反射波の別の取り出し口があり得ます。名称だけで決めず、ポート図と終端条件を確認します。
3.帯域と接続条件
両方とも多様な構造と帯域があります。スプリッタが必ず6 GHzまで、カプラが必ず40 GHzまでという境界はありません。必要な全帯域の保証値で比較します。
50 Ω系と75 Ω系では適合部品が必要です。機械変換アダプタが電気的不整合をすべて解消するわけではありません。未使用ポートも回路に合う負荷で終端します。
受信分配での選び方
各受信機のレベルを、分配、追加損失とケーブルで計算します。仮に4分配の追加損失が0.8 dBなら、各出力への低下は約6.82 dBです。これは仮定例で、製品測定値ではありません。
アクティブアンテナやLNBではDC通過と制御信号も必要です。複数受信機の要求が異なる衛星受信では、単純な分配器でなく指定の分配構成が必要な場合があります。
測定用カプラで確認すること
センサへ主電力のすべてを送らずに測定できます。結合量、センサ範囲、主線路耐電力と方向性を合わせます。小さな反射波の測定ほど有限の方向性による漏れが問題になり得ます。
相反性のある分配器を逆向きに合成器として使う場合も、位相、振幅、周波数と内部発熱条件を検討します。分配時の入力定格を、独立送信機の任意の組合せへ流用しません。
光カプラとの違い
光分野ではカプラとスプリッタの呼称が重なり、分岐比、波長、過剰損失とポート構成で比較します。RFの方向性や50 Ωの説明をそのまま光ファイバへ移さないでください。
光学の詳しい区分は光カプラとスプリッタの解説を参照してください。ここで示したRFポートのD = I − Cを、任意の光分配部品の性能式として使うことはできません。
参考は方向性結合器とWilkinson分配器です。用途、接続図と測定条件が部品名の印象より重要です。