衛星アンテナの指向調整には、衛星測定器、方位磁針、傾斜計と指定の締付け工具が役立ちます。測定器は受信確認、ほかは初期方向と固定に使います。信号レベルが高いだけでは、目的の衛星を受信していると証明できません。
工具の前に用意する情報
衛星と軌道位置、設置地点、アンテナとLNBの型式、現在使える基準トランスポンダを確認します。周波数、偏波、シンボルレートと方式が測定器に対応している必要があります。
自動追尾、マルチフィードや共聴設備にはそれぞれの手順があります。安定した作業場所を確保し、屋根などの難しい場所は設置業者に依頼します。
1.衛星測定器で信号を識別
簡易ファインダーは総合レベルに反応し、複数の衛星を区別できない場合があります。トランスポンダの同期や識別ができる機器は対象確認に役立ちます。
入力帯域も確認します。多くの機器は反射鏡に届くKu帯そのものではなく、LNBで変換された中間周波数を扱います。LNBの局発周波数を誤設定すると表示と実際の信号が対応しません。
給電電圧、偏波切替と制御信号を合わせます。別電源や受信機との接続時は、測定器からの給電が予定された構成か確認します。
微調整では利用できる品質、MER、C/Nや誤り指標を使います。MERは変調誤差比であり、誤り率そのものではありません。80%や90%という表示は機種依存で、共通の測定単位ではありません。
2.方位磁針と地図で初期方位
方位角は設置地点から衛星への水平方向です。衛星の軌道経度をそのままコンパスの方位にしません。DishPointerなどは初期方向の見積もりに利用できます。
真北と磁北を区別し、磁針を金属支柱や磁気の影響源から離します。スマートフォンを支柱に密着させた読みは誤る場合があります。アプリの拡張現実表示も受信の最終確認にはなりません。
3.傾斜計とオフセット角
仰角はビームが水平線となす角です。オフセット反射鏡では、見た目の面とビーム方向の関係が中心給電型と異なります。メーカーが指定する基準面や目盛で確認します。
縁へ傾斜計を当てた値がそのまま電波の仰角だとは限りません。取付け目盛が支柱の垂直を前提としていれば、支柱の状態も先に確かめます。
4.工具と固定で最大点を維持
指定された工具を使い、必要ならトルクレンチで所定の値に締めます。構造を保持できる範囲で調整し、固定を失うほど緩めないでください。
調整後は品質を見ながら段階的に締めます。締付けによる位置ずれが最適点を変える場合があります。すべての皿や支持金具に同じトルクは適用できません。
調整の順序
- 見通し、支持とサービス設定を確認します。
- 方位と正しい基準の仰角を初期値へ合わせます。
- 周辺をゆっくり探索し、測定表示の更新を待ちます。
- 対象信号を識別してから方位と仰角を交互に微調整します。
- 線偏波の場合、指定規約に従ってLNBのスキューを調整します。
- 固定後に複数の必要信号を確認し、結果を残します。
移動刻みと許容誤差は開口とビーム幅によります。3°以内ならどの衛星アンテナも十分、という条件はありません。
レベルがあるのに品質がないとき
方向を無作為に変える前に、衛星、トランスポンダ、LNB設定と制御を確認します。悪天候時の断続はリンク余裕の不足だけでなく接続や支持の不良でも起こります。
機器、基準信号、天候と締付け前後の測定を記録します。業務用ではDolph MicrowaveのSATCOMアンテナを帯域、偏波、開口と取付け条件をそろえて比較します。