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導波管アンテナの原理|ホーン・開口・スロットの違い

導波管アンテナは、管内を伝わる電磁界を開口やスロットから自由空間へ放射するアンテナです。単なる導波管伝送路とは異なり、どこから、どの方向へ、どの偏波で放射するかを設計します。代表例は開口導波管、ホーンアンテナ、スロット導波管アレイです。

導波管とアンテナの役割を分けて考える

導波管は電源や送受信機とアンテナの間で電磁エネルギーを運ぶ伝送路です。壁が閉じている直線部は、通常、外部へ積極的に放射するための部分ではありません。終端を開く、断面を広げる、壁に設計されたスロットを設けることで放射構造になります。

「導波管を使えば1 GHz以上で必ず同軸より優れる」「すべて20 dBi以上」という一般則はありません。使える帯域、損失、利得、耐電力は、寸法とモード、材料、給電方法、開口形状で変わります。

管内のモードが開口の電磁界を作る

空気で満たされた矩形導波管では、内幅aが内高さbより大きい場合、通常TE10が基本モードです。進行方向をzとするとTEはEz = 0を意味します。管壁の境界条件によって断面内の電界・磁界分布が決まり、その分布が開口での放射を左右します。

TE10の遮断周波数はfc = c/(2a)です。WR-90の内幅22.86 mmなら約6.56 GHz、一般的な推奨使用帯域は8.2~12.4 GHzです。遮断周波数と実用帯域の下端を混同しないでください。

開口が突然自由空間に接続すると、一部は放射し、一部は反射します。開口形状や給電の整合を設計しないと、送信電力が反射して意図した放射効率を得られないことがあります。

代表的な3つの構造

構造 放射の作り方 確認する特性
開口導波管 管の端面から放射する 開口電界、反射、偏波、比較的広いビーム
ホーン 管を徐々に広げて大きな放射開口へ移行する 開口寸法、位相誤差、利得、ビーム幅
スロット導波管アレイ 管壁の複数スロットから所定の振幅・位相で放射する スロット位置と結合、配列間隔、サイドローブ、帯域

ホーンは単に管を大きくすればよいわけではない

ホーンの広がりは管内モードから自由空間への移行を作ります。開口を大きくすると高い指向性を得やすい一方、長さとフレア角によって開口の位相分布が変わります。短すぎるホーンでは位相誤差が増え、面積に見合う利得にならない場合があります。

スロットは位置と向きにも意味がある

スロットと管内電磁界の結合が放射量を決めます。穴の数だけでなく、長さ、向き、中心からのずれ、相互結合、終端条件が重要です。管内波長は自由空間波長より長いため、設計上の間隔を自由空間の半波長だけで決めることはできません。

利得とビーム幅を評価する

開口アンテナの近似としてG ≈ 4πηA/λ²を使えます。Aは物理開口面積、ηはその開口の利用効率です。たとえば10 GHz、開口0.10 m × 0.08 m、η = 0.60という仮定なら約18.3 dBiです。実測仕様ではなく、面積と効率の関係を示す計算例です。

高い最大利得だけではアンテナを選べません。主ビームの幅、サイドローブ、交差偏波、帯域内の変化、位相中心も用途によって重要です。広い範囲を観測したい用途では、最も狭いビームが最適とは限りません。

送受信機への接続と測定

  1. 導波管サイズ、使用モード、周波数帯の整合を確認する。
  2. 同軸変換器を使う場合は、変換器自身の帯域と損失も含める。
  3. フランジの面、位置決め、ねじ、シールを指定どおりに組み立てる。
  4. VNAで反射と必要な伝送特性を測り、放射パターンと利得はアンテナ測定で別途確認する。
  5. 耐電力はCW・ピーク・パルス条件、圧力、温度、冷却を明示して評価する。

良いS11は整合の証拠ですが、それだけでは正しい方向に効率よく放射しているとは分かりません。設置後のレドーム、周囲金属、取付構造も含めて確認します。

参考資料

モードと波長の関係はMicrowaves101の導波管数学、開口と利得の関係はAntenna-Theoryの有効開口解説を参照してください。伝送部品はDolph Microwaveの標準導波管部品から確認できます。リンク先は英語です。

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