光カプラ、光スプリッタ、方向性結合器は完全に排他的な分類ではありません。カプラは結合部品の広い呼称、スプリッタは分配機能、方向性結合器は伝搬方向を含む結合構造を表すことがあります。名称だけで50:50、90:10、波長や耐電力を決めないことが重要です。
1. 呼び名とポート構成の違い
1×2や1×Nのスプリッタは、一つの入力から複数の出力へ光を分配します。等分配だけでなく、不等分配の製品もあります。2×2カプラでは二つの入力側ポートと二つの出力側ポートの対応を確認します。
方向性結合器では、近接する導波路などを通して特定の伝搬方向のモード間に結合を生じさせます。ポート番号と入射方向が分からなければ、どこへ光が出るかを名称だけで判断できません。
相反的なカプラはアイソレータではありません。反射光を必ず別ポートへ振り分けるサーキュレータとも区別します。RF方向性結合器の説明を、そのまますべての光部品の接続図へ置き換えないでください。
2. 分配比と損失の違い
入力に対する出力iの挿入損失は ILi = −10 log10(Pi/Pin) です。全出力の和を使う過剰損失は EL = −10 log10(ΣPout/Pin) で、理想的な分配そのものと区別します。
| 分配 | 入力に対する各出力 |
|---|---|
| 50:50 | 約3.01 dBずつ低下。 |
| 90:10 | 主側約0.46 dB、分岐側10.00 dB低下。 |
| 1×8等分配 | 各出力約9.03 dB低下。 |
| 1×32等分配 | 各出力約15.05 dB低下。 |
50:50で半分が別の出力へ届くことは、その半分が部品内部で熱になって失われたことを意味しません。90:10の分岐ポートを「挿入損失0.5 dB未満」と記すのも不適切です。
例えば過剰損失0.20 dBで、残る全出力を90:10に分けるなら、各挿入損失は約0.66 dBと10.20 dBです。比率の定義と測定波長をデータシートで確認します。
3. 実装方式と波長依存性の違い
FBTは融着・延伸したファイバーを用いる方式、PLCは平面光波回路による方式です。実装方式と分配機能は同じ分類軸ではありません。
結合長、屈折率、形状などにより波長応答が変わります。すべてのFBTが狭帯域、すべてのPLCが1260~1650 nmという保証はありません。波長を分離するWDM部品には、単なるパワー分配とは別の透過帯域と阻止帯域の要求があります。
監視分岐と通信分配
監視では主経路の余裕と検出器の感度に合うタップ比を選びます。通信分配では分配損失、ファイバー、接続、送信出力と受信感度を合計して光予算を確認します。
1×32だから必ずEDFAが必要とは限りません。サービスの設計条件次第であり、増幅器の波長帯と双方向動作も確認が必要です。
逆方向に使う場合
相反性があっても、二つの入力の光が無条件に全量一つの出力へ集まるわけではありません。同じ波長でコヒーレントな入力なら相対位相で出力分布が変わり、非コヒーレントな光では別の平均的な扱いが必要です。
選定表に残す条件
- ポート図、分配比と比率公差。
- 波長帯、シングルモード・マルチモードと偏波条件。
- 各経路の挿入損失、過剰損失と偏波依存損失。
- 反射、不要ポートへの結合と測定条件。
- 連続・ピーク光パワー、コネクタと環境条件。
「融着型は10 W、PLCは1 Wで破損」という一律の区分はありません。参考資料のRP Photonicsのファイバーカプラ解説も、構造、分岐・結合と用途の広がりを説明しています。実際の定格は部品型式ごとに確認してください。