X帯で使うダブルリッジ導波管に、唯一の共通寸法はありません。WR-90は通常の矩形導波管で、WRD型の二重リッジ導波管とは別の断面です。帯域に合う型式を選び、内部幅・高さ・リッジ幅・ギャップを同じ行の図面から確認します。
X帯と部品の使用帯域
一般的な文字区分のX帯は8~12 GHzです。一方、WR-90の通常の使用帯域は8.2~12.4 GHzです。二つの範囲は関連しますが同じ定義ではありません。
二重リッジ構造では向かい合う突起が場と遮断条件を変え、広い帯域を設計できる場合があります。空の矩形導波管の式を、そのまま突起付き断面へ適用することはできません。
公称寸法の比較
以下はSPINNER TD-00036、版X(2026年1月14日)の18~19ページに基づく例です。aは内部幅、bは内部高さ、eはリッジ間ギャップ、hは図中のリッジ幅です。hを突起の高さと読み違えないでください。
| 型式 | a / b | e / h | 公称帯域 |
|---|---|---|---|
| WRD 350D36 | 27.28 / 11.73 | 2.29 / 6.83 | 3.50–12.40 |
| WRD 500D36 | 19.10 / 8.20 | 1.60 / 4.78 | 5.00–18.00 |
| WRD 750D24 | 17.55 / 8.15 | 3.45 / 4.39 | 7.50–18.00 |
| WRD 475D24 | 27.69 / 12.85 | 5.46 / 6.91 | 4.75–11.00 |
WRD 475D24の公称上限11 GHzは、8.2~12.4 GHzの全域を含みません。範囲が一部重なるだけでは全帯域用の候補にならない点に注意します。
公称表は完成部品の損失、VSWR、電力保証ではありません。表が引用する旧MIL規格には廃止版もあるため、調達仕様では採用する文書の版と供給図面を合意します。
元の寸法を混ぜると何が起きるか
22.86 × 10.16 mmはWR-90の内寸です。4.78 mmのリッジ幅は上表のWRD 500D36、2.29 mmのギャップはWRD 350D36に現れます。異なる行を集めて一つの標準断面にすることはできません。
同じ外形に任意のリッジを追加しても、規格型式の応答やフランジ互換性は得られません。加工前に断面全体と基準位置を照合します。
遮断とインピーダンス
資料の基本モード遮断はWRD 350D36が約2.966 GHz、WRD 500D36が約4.237 GHz、WRD 750D24が約6.239 GHzです。これらは使用帯域の下端と同じ値ではありません。
すべての二重リッジ導波管が50 Ωという説明も不適切です。場の比、等価回路の定義とVNAのポート基準を区別します。50 Ω同軸への接続には対応する遷移構造が必要です。
公差、角部と表面
ギャップ、左右の対称性、リッジ端部と角部半径の変化は電界と整合に影響します。±0.05 mmや半径0.5 mmを全モデルの共通値として使いません。
完成後の寸法だけでなく、めっき厚、下地、バリと継ぎ目を考慮します。基本内寸表には省略された項目があるため、そのまま加工用の完全図面にはなりません。
見積りと受入れに必要な情報
- 実際の下限・上限周波数と使用モード。
- 断面型式、材料と表面処理。
- フランジ、基準位置と全長。
- 反射、損失と電力の条件。
- 測定基準面、温度と検査方法。
SPINNERの対照表と通常矩形導波管の寸法を区別して参照します。X帯という一語ではなく、完成品の図面と保証範囲を一致させてください。