方向性結合器の試験では、結合度、通過損失、アイソレーション、方向性と反射を分けて測定します。ポート番号は製品によって異なります。まず図面で入力、通過、結合と終端の関係を確認し、必要な帯域全体を評価します。
1.ポートと試験条件を定義する
ここでは入力を1、通過を2、結合を3、アイソレーション側を4とします。この番号は説明用で、すべての製品の番号と一致するわけではありません。内部終端付きの3ポート製品では4番に相当する点へ外部からアクセスできない場合があります。
周波数範囲、基準インピーダンス、入力レベルと許容電力を決めます。2~4 GHz、+10 dBmをすべてに適用せず、DUTと測定器の仕様に合わせます。結合側だけでなく通過側に入る電力も確認します。
2.基準面まで校正し、未使用ポートを終端する
VNAを用いる場合は必要なポート校正を行い、測定に使わないポートは適切な整合負荷で終端します。負荷の反射、アダプタとケーブルの状態は方向性の評価に影響します。
2ポートVNAで接続を切り替えるなら、同じ基準面と再現性を維持します。高いアイソレーションを測るほど、測定器のダイナミックレンジと直接漏れが重要です。
3.各特性を同じ定義で計算する
| 特性 | 正のdB値による定義 |
|---|---|
| 通過挿入損失 IL | −20 log10|S21| |
| 結合度 C | −20 log10|S31| |
| アイソレーション I | −20 log10|S41| |
| 方向性 D | I − C |
パワー測定を使う場合、同じ基準条件に補正した入力と出力のdBm差からdB値を求めます。入力10 dBm、通過9.6 dBm、結合−10 dBm、アイソレーション側−40 dBmなら、IL = 0.4 dB、C = 20 dB、I = 50 dB、D = 30 dBです。
これは計算例です。すべての製品にIL ≤ 0.5 dBやD ≥ 30 dBを要求する共通規格ではありません。
4.方向性と測定限界を検証する
アイソレーション側の信号が測定器の雑音床に達している場合、表示値を確定した真値として扱えません。使用可能な測定範囲から下限として示すなど、測定の限界を記録します。
入力を逆にすると、結合とアイソレーションの役割が変わります。内部終端付きでは、取り扱える試験配置が4ポート製品と同じとは限りません。仕様書の逆方向測定手順に合わせてください。
通過損失と結合による分配
結合度20 dBなら理想的には入力電力の1%が結合側へ流れます。残り99%の通過に相当する分配分の損失は約0.044 dBです。実際の通過挿入損失には散逸なども含まれ得ます。
通過電力の減少をすべて発熱と同一視せず、データシートが総挿入損失と追加損失のどちらを示すか確認します。高電力試験では内部終端の負荷条件も必要です。
自作結合器も帯域全体で確認する
自作回路では線路寸法、基板、接地とコネクタが結果に影響します。狙った周波数の結合度だけで合格にせず、反射、方向性と周波数変動を測ります。有限の方向性は反射電力計として使うときの誤差要因です。
保存する記録はポート図、校正方法、終端、ケーブル、入力レベル、周波数掃引と測定限界です。定義とポートの考え方はMicrowaves101の方向性結合器で確認できます。