ダブルリッジホーンは、向かい合う二本の金属リッジを導波部と開口への広がりに設けた広帯域アンテナです。リッジ間隔、形状と給電がモードと整合を変えることで、平滑な壁の構造とは異なる帯域設計が可能になります。二つの独立した導波管を重ねたものではありません。
ridgeは突起を意味する
英語のdouble-ridgedは二本のリッジを持つという意味で、rigid(硬い)とは異なります。内側へ突き出した金属の間に電界が集中し、形状に応じて主要モードの遮断などが変わります。
リッジの広がりと外側のホーンが開口までの場を整えます。受動構造なので電源付きの増幅器のように新たな電力を生み出しません。
帯域は全モデル共通ではない
二重リッジ構造は広帯域に使われますが、すべてが5~40 GHzや8~40 GHzという意味ではありません。また8~40 GHzの全体をX/Ku帯だけと呼ぶことも不適切です。
製品例としてETS-Lindgren 3115の公式ページは校正範囲750 MHz~18 GHzを示します。これは個別モデルの例で、どのダブルリッジホーンにも同じ帯域を付けられるわけではありません。
反射が小さい範囲と、必要な利得・パターン・偏波品質を満たす範囲は区別します。特に広帯域では全周波数の測定データが必要です。
利得とパターン
最大利得、E面とH面の幅、サイドローブや主ローブの分裂を確認します。整合が良くても、高周波側のパターンが用途に合わない可能性があります。
「10~15 dBi」「交差偏波−30 dB」「VSWR 1.2以下」を形式だけの共通保証にしません。周波数、角度と基準面を付けた値で比較します。
従来ホーンより帯域が何倍という主張にも、両製品と合否基準の指定が必要です。同じ外形だけで利得が3 dB増えるとは決まりません。
偏波と給電
一般的な二重リッジホーンは一つの直線偏波を扱う構成です。二本のリッジが二つの独立偏波ポートという意味ではありません。二重偏波が必要ならポートと構造を別に確認します。
同軸端子、ランチャー、リッジ間隔と後方構造が整合に影響します。接続端子の帯域と機械状態まで含めて扱います。
EMCやアンテナ試験で使うとき
受信電圧を電界へ換算するには校正されたアンテナ係数とケーブル補正などを使います。送信側では利得、電力、距離と測定場の条件を合わせます。
ビームが広いだけで試験対象の全面が均一照射されるとは限りません。距離、反射と場の均一性を試験方法に従って確認します。
電力と機械寸法
リッジ間の狭い隙間や給電部では電界が強くなります。平均電力とピーク電力、パルス、圧力と温度を指定します。低電力S11だけでは放電や熱の余裕が分かりません。
公差はRF感度と製造法から決めます。±0.1 mmをすべての周波数へ適用したり、現場でリッジを削って調整したりせず、元図面と試験結果で判断します。
選定時の確認表
| 分類 | データ |
|---|---|
| 周波数 | 要求帯域と校正範囲。 |
| 放射 | 利得、二平面パターンと偏波。 |
| 接続 | 端子、反射とケーブル支持。 |
| 試験 | 距離、アンテナ係数と不確かさ。 |
| 運用 | 電力、温度と機械制約。 |
参照資料はETS-Lindgren 3115の公式情報とホーンの基礎です。リッジを使うフィルターは周波数を選別する別の機能で、ホーンと同一の製品ではありません。