導波管の給電では、電界プローブ、磁界ループ、開口・アイリス結合などで目的のモードへエネルギーを結合させます。一方、開口端やホーンは導波管から空間へ放射する部分です。入力結合とアンテナ放射部を同じ分類として扱うと、設計の役割を混同します。
給電系を3つの段階に分ける
同軸や回路から導波管へ入れる段階、導波管内で電力を伝送・分配する段階、アンテナ開口から放射する段階があります。たとえば「同軸プローブでTE10を励振し、矩形導波管を通してホーンへ給電する」は、それぞれ別の機能を組み合わせた構成です。
以下では設計でよく現れる4つの要素を説明します。互いに排他的な4種類のアンテナという意味ではありません。
1.電界プローブによる結合
プローブは目的モードの電界と結合するように位置と向きを選びます。同軸・導波管変換器では、中心導体を導波管内へ導入する構成などが使われます。長さ、突出量、背面短絡までの距離、支持誘電体が整合と帯域に影響します。
単にプローブを長くすると広帯域になるわけではありません。不要なモードや局所電界、接続部の損失も確認が必要です。特定の1/4波長条件を、自由空間波長と管内波長を区別せずに使わないでください。
2.磁界ループによる結合
ループは通過する磁束と結合します。ループ面と磁界の向き、面積、位置、給電部が結合量を左右します。共振器やモード励振で用いられますが、ループを付けるだけで偏波ダイバーシティが得られるわけではありません。
電界プローブとの選択は、目的の電磁界分布、機械的な配置、電力条件に基づきます。見た目の小ささや部品数だけで決めるものではありません。
3.開口、スロット、アイリスによる結合
導波管や共振器の間に設ける開口は、隣接領域の場を結合します。形状、寸法、向き、配置によって結合係数や反射が変わります。フィルターでは共振器間結合、方向性結合器ではサンプリング、スロットアレイでは放射など、用途が異なります。
スロットが共振型か非共振型か、終端がどうなっているかによって設計も変わります。「アイリス結合はすべて衛星アンテナ用の共振スロット」という説明は正確ではありません。
4.開口端とホーンによる放射
開いた導波管の端面では、管内の場が自由空間へ放射されると同時に、一部が反射します。ホーンは断面を広げ、放射開口と電磁界分布を形成します。開口寸法、長さ、フレア角、位相誤差が利得とパターンを左右します。
パラボラの給電ホーンは、反射鏡へ適切な照射を行う必要があります。最大利得だけでなく、端部照射、スピルオーバー、交差偏波、位相中心を見ます。自由空間への放射アンテナと反射鏡の給電器では、最適条件が同じとは限りません。
モードと整合を先に確認する
WR-90の一般的な推奨帯域は8.2~12.4 GHz、TE10の遮断は約6.56 GHzです。給電部も同じ帯域で目的モードを励振できる必要があります。TE10の電界と結合しにくい向きにプローブを配置しても、望む伝送にはなりません。
導波管の波動インピーダンスは周波数に依存し、単なる固定50 Ω抵抗ではありません。変換器を含むシステムでは、測定基準面とポート定義をそろえて反射・伝送を評価します。
選定と検証のチェック項目
- 周波数帯、目的モード、偏波と必要帯域幅。
- 入力インターフェース、フランジ、機械寸法。
- 反射、挿入損失、不要モード、振幅と位相のバランス。
- ピーク電界、電力、放電・発熱条件。
- アンテナとして使う場合の利得と放射パターン。
ホーンの給電構造はAntenna-Theory、導波管数学はMicrowaves101を参照してください。接続部品はDolph Microwaveの標準導波管部品で確認できます(英語)。