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矩形導波管のTE・TMモード|違いと遮断周波数

矩形導波管のTEとTMは、伝搬方向に対する電磁界成分の違いです。進行方向をz軸とすると、TEはEz = 0、TMはHz = 0となります。TEは「低周波用」、TMは「高周波用」という分類ではありません。伝搬可能な周波数は、モードの番号と導波管の内寸によって決まります。

1.TEモードは縦方向の電界を持たない

TEはTransverse Electricの略です。電界は伝搬方向に垂直ですが、磁界には縦方向成分があります。通常の矩形導波管で使われるTE10は、内幅a方向に1つの半波状の分布を持つ基本モードです。

2.TMモードは縦方向の磁界を持たない

TMはTransverse Magneticの略です。磁界は伝搬方向に垂直で、電界には縦方向成分があります。矩形導波管のTM11はaとbが等しくなくても成立します。「TM11の伝搬には正方形断面が必要」という条件はありません。

3.添字m、nは断面内の分布を表す

項目 TEmn TMmn
縦方向電界 Ez = 0 一般に存在
縦方向磁界 一般に存在 Hz = 0
添字の条件 m、nは0以上、同時に0は不可 m、nともに1以上
例 TE10、TE20、TE01 TM11、TM21

したがって、通常の矩形中空導波管にTM10やTM01はありません。境界条件とモードの定義を先に確認すると、存在しないモードを計算に入れる誤りを防げます。

4.遮断周波数は同じ式で計算できる

理想的な空気充填矩形導波管では、fc,mn = (c/2)√[(m/a)² + (n/b)²]です。TEとTMに同じ添字が存在する場合、理想モデルの遮断周波数は同じです。ただし電磁界分布は異なります。

WR-90の内寸a = 22.86 mm、b = 10.16 mmを代入すると、次の値になります。

空気充填WR-90の計算例
モード 遮断周波数の概算
TE10 6.56 GHz
TE20 13.11 GHz
TE01 14.75 GHz
TE11、TM11 16.15 GHz

WR-90の一般的な推奨帯域8.2~12.4 GHzはTE10の遮断より高く、次のモードの遮断より低い範囲に置かれています。遮断を少し超えたことだけを理由に、その部品が実用上使えると判断することはできません。

5.TEMモードとは別の分類である

TEMでは電界と磁界の両方が伝搬方向に垂直です。均一な媒質で満たされた単一導体の中空管にはTEMモードはありません。同軸線路など、複数の導体を持つ構造ではTEM伝送が可能です。これは単に周波数が高いか低いかではなく、断面構造と境界条件の違いです。

6.実務ではモード変換と帯域余裕が重要

高次モードが伝搬可能になる周波数では、不連続部や給電条件によって複数モードが励起されることがあります。曲がり、寸法段差、フランジのずれ、非対称な構造は、反射や不要モードの原因になり得ます。伝搬可能であることと、意図したモードだけが伝搬していることは同じではありません。

  • 部品ごとに保証帯域と推奨モードを確認する。
  • 給電プローブや変換器の配置を、目的の電磁界分布に合わせる。
  • 組み立て後にリターンロス、挿入損失、必要に応じてモード純度を評価する。
  • 耐電力はモード名だけで決めず、形状、ピーク電界、圧力、冷却、パルス条件を確認する。

TMが常にTEの2倍損失になる、TEなら一律に特定のkWまで使える、といった一般則はありません。数値比較には、同じ寸法・材料・周波数・測定条件が必要です。

参考資料と次の確認項目

遮断、管内波長、位相速度の関係はMicrowaves101の導波管数学解説を参照してください。部品構成はDolph Microwaveの標準導波管部品で確認できます(英語)。

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