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導波管と同軸の性能比較|総損失・帯域・電力の計算

導波管と同軸ケーブルを性能で選ぶには、使える帯域、経路全体の損失、連続・ピーク電力を同じ条件で比較します。ここでは仕様表から損失予算を作る方法を示します。構造とモードの基礎を先に確認したい場合は、導波管と同軸の基礎比較を参照してください。

1.帯域の合格条件を先に決める

中心周波数だけでなく帯域端、温度、許容反射を決めます。「同軸は18 GHzまで、導波管は30 GHz以上」といった区切りは使えません。実際の保証帯域は線路だけでなくコネクター、変換器、窓などにも制約されます。

導波管では目的モードの遮断と高次モードを確認します。同軸でもコネクターと線路寸法に応じた高周波限界があります。保証帯域外の損失を、帯域内の1点から直線的に外挿しないでください。

WR-90の内寸は22.86 × 10.16 mm、TE10遮断は約6.56 GHz、一般的な推奨帯域は8.2~12.4 GHzです。この例だけでも導波管が30 GHz未満で使われることが分かります。

2.損失は品種・周波数・長さで比べる

導波管には壁面の導体損失があり、同軸には導体損失と誘電体などによる損失があります。空気充填の導波管では固体誘電体による損失を避けられますが、損失がゼロになるわけではありません。

導波管が低損失に有利な用途は多いものの、「同軸は必ず0.5 dB/m、導波管は必ず0.1 dB/m以下」という比較はできません。太さ、材質、表面状態、温度、曲がり、周波数をそろえて製品データを比較します。

低反射の一次見積もりでは、Ltotal = αℓ + ΣLpartsとします。αはdB/m、ℓはm、部品損失はdBです。大きな反射がある場合は単純和だけでなくSパラメータのカスケード解析が必要です。

同じ周波数で比較する仮定の2 m経路。製品の代表値ではありません。
経路 線路 接続部品の合計 総損失
候補A 0.20 dB/m × 2 m 0.30 dB 0.70 dB
候補B 0.08 dB/m × 2 m 0.70 dB 0.86 dB

Bは単位長さ当たりの損失が低くても、変換器などを加えるとこの長さではAより高損失です。この仮定で両者が等しくなる長さは(0.70−0.30)/(0.20−0.08) ≈ 3.33 mです。実際には採用部品の周波数別保証値で再計算します。

dBから電力と余裕を読む

伝送電力比は10−L/10です。0.70 dBなら約85.1%、0.86 dBなら約82.0%です。反射や他ポートへの流出が無視できるモデルでは残りが損失に対応しますが、測定した挿入損失の全てを発熱と見なしてはいけません。

受信系ではLNAより前の損失と後の損失の影響も異なります。総dBが同じでも受信雑音の条件は同一とは限らないため、設置位置を含めて評価します。

3.電力、取り回し、環境条件

導波管は低損失・高電力用途で使われますが、耐電力はサイズだけで決まりません。連続とピークを分け、パルス幅、繰り返し、冷却、圧力、局所電界を確認します。フランジ、窓、変換器が制限部になる場合もあります。

同軸は柔軟な配線や小型接続に便利です。ただし最小曲げ半径、コネクター締結、引張り、繰り返し屈曲を守ります。導波管も曲げ・ねじり部品やフレキシブル部品を使えますが、その損失と機械寿命を確認してください。

要求 比較する内容
広い周波数範囲 同軸・コネクターの上限と導波管の実用帯域。
低い経路損失 全長、曲がり、変換器を含む合計損失。
高電力 熱、ピーク電界、気圧、負荷の反射条件。
動く接続 屈曲仕様、位相安定性、寿命。
屋外・密閉用途 シール、防湿、材料、接合方法。

測定と選定の進め方

まず周波数帯と許容損失を決め、必要電力と経路を整理します。候補のSパラメータと電力条件を確認し、測定では両端の基準面をそろえます。波動インピーダンスが周波数依存の導波管を、固定50 Ωの抵抗として単純に扱わないでください。

相互接続するなら同軸・導波管変換器も評価対象です。線路単体の計算だけでは、完成した送受信経路の反射や位相安定性は保証されません。

評価表には候補の型番、周波数別損失、長さ、部品数、反射、電力条件、許容温度、取付制約を並べます。典型値と保証上限を混在させず、計算の入力元を保存すると選定理由を再確認できます。

式とモードの基礎はMicrowaves101、部品の選択肢はDolph Microwaveの標準導波管一覧で確認できます(英語)。

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