パッシブアンテナとアクティブアンテナの違いは、主にアンテナに電源を必要とする回路が組み込まれているかです。受信用アクティブアンテナには、低雑音増幅器(LNA)などが含まれます。アンテナ利得のdBiと増幅器の利得のdBは別の指標であり、「30 dB増幅するから30 dBiのアンテナ」とは言えません。
まず用語の範囲を確認する
受信用製品では、アンテナ素子とLNA、フィルターなどを組み合わせたものをアクティブアンテナと呼ぶことが一般的です。一方、アクティブアレイでは各素子の送受信回路やビーム制御まで含む場合があります。製品ごとに何が組み込まれているかを確認してください。
パッシブな送信アンテナも、電波を出すためのRF電力は送信機から受け取ります。「パッシブだからエネルギーが不要」という意味ではなく、アンテナ内部の能動回路用に別途給電する必要がないという区別です。
1.給電方法と接続条件が異なる
アクティブアンテナの給電は、同軸ケーブルにDCを重畳する方法や別の電源線による方法があります。必要電圧、電流、極性、許容範囲は製品ごとに異なります。受信機のアンテナ給電機能が、そのアンテナに適合するとは限りません。
分配器、保護器、変換コネクターのDC通過経路も確認します。給電がない場合、内蔵回路は大きな損失を生じることがあり、良好なパッシブアンテナとして動くとは保証できません。
2.放射特性と増幅率を分けて比較する
アンテナの利得は方向と周波数で変わり、指向性と効率に関係します。大きな反射鏡や素子を組み合わせたパッシブアンテナでも高利得を得られるため、「パッシブは2~10 dBiまで」という上限はありません。
LNAの利得は入力に対する出力の電力比です。回路の利得を高くしても、アンテナ素子のビーム幅や有効開口が同じ割合で変わるわけではありません。仕様書では、素子の利得、回路利得、雑音指数、ケーブル損失を別々に確認します。
3.低雑音増幅器は配置が重要
LNAをアンテナの近くに配置すると、その後のケーブル損失や受信回路の雑音の影響を抑えられる場合があります。ただし、入力にある信号と雑音はともに増幅されます。すでに失われた信号対雑音比を増幅器だけで元に戻すことはできません。
2段の雑音計算はFtotal = F1 + (F2 − 1)/G1です。FとGにはdBではなく線形値を使います。雑音指数NFは10 log10(F)です。
整合された290 Kの理想例で、3 dBの損失の後にNF 1 dBのLNAを置くと、合計NFは約4 dBです。NF 1 dB、利得20 dBのLNAを先に置き、その後に同じ3 dB損失を置くと、2段だけの合計NFは約1.03 dBになります。実際にはフィルター、保護回路、受信機も含めて計算します。
4.強い信号には線形性とフィルターが必要
強い妨害波がある環境で増幅率を上げすぎると、LNAや受信機が飽和して受信品質が悪化する場合があります。圧縮点、相互変調特性、最大入力、フィルター帯域を確認してください。雑音指数が最小の製品が、どの環境でも最適とは限りません。
| 条件 | 検討する方向 |
|---|---|
| アンテナ位置で良好な信号があり、ケーブルが長い | 給電と過大入力を確認し、アンテナ近傍のLNAを検討 |
| 強い送信局や妨害波が近い | フィルター、線形性、利得低減を検討 |
| 短い配線で十分な品質が得られる | パッシブ構成で必要性能を満たせるか確認 |
| 電池駆動や低消費電力が重要 | アンテナだけでなく受信システム全体の電力を比較 |
選定時の確認項目
- 周波数帯、偏波、必要な放射パターン、コネクターを決める。
- 実際の周波数と長さでケーブル損失を見積もる。
- アクティブ型ではNF、回路利得、最大信号、給電仕様を確認する。
- 設置場所の妨害波と環境条件を評価する。
- 最終的に信号レベルだけでなく、誤り率や復調品質を測る。
雑音と線形性の考え方はMarki Microwaveの受信感度・雑音指数解説を参照できます。業務用アンテナはDolph MicrowaveのSATCOMアンテナ一覧で構成を確認してください。掲載製品にLNAが含まれるかは個別仕様によります。リンク先は英語です。