スロットアンテナは導体に設けた開口とその周囲の電磁界を利用して放射します。薄い面へ統合できることと、電気的な小型化は別の利点です。折返し、装荷や誘電体を利用して寸法を変えられますが、帯域、効率と周辺構造も変わります。
開口が放射する基本原理
適切な給電でスロット内に電界を作ると、周囲の電流と場が放射に関係します。無限で薄い完全導体板を仮定した狭いスロットは、相補的なダイポールとの関係から理解できます。
理想的な双対関係では偏波が入れ替わります。細長いスロットの長手方向をそのまま電界偏波の向きと思い込まないでください。実際の有限板、厚み、基板と背面構造では、理想式だけで特性が確定しません。
低背化は既存の金属面を使う方法
放射部を外へ長く突き出さず、筐体や基板の導体面へ配置できる場合があります。端末の外形に収めやすいという利点です。
ただし設計寸法には開口だけでなく、接地面、空洞、給電線と必要な周辺空間を含めます。15 × 15 mmのスロット領域だけを数えて装置全体も同じ大きさと示すのは不適切です。
電流・場の経路を折り返す
曲線、U字、リングや折返しを用いて、限られた外形の中で必要な電気的経路を設計できます。近接部分の結合や給電位置も共振へ影響します。
長い経路を詰め込むほど必ず性能が良くなるわけではありません。電流が相殺する部分、導体損失と強い局所電界が増える可能性があるため、効率とパターンを併せて評価します。
誘電体と装荷による寸法調整
誘電体による波長短縮や容量・誘導性の装荷を利用する設計があります。高い誘電率だけでは最適化できず、損失正接、分散、厚さと製造ばらつきも重要です。
FR4は単一のRF材料定数を持つ呼称ではありません。3.5 GHzの自由空間波長は約85.7 mmで、その1/10は約8.6 mmです。15 mmを条件説明なしにλ/10と表すことはできません。実効波長を使うならそのモデルを明示します。
帯域と効率の交換条件
電気的に小さいアンテナでは一般に蓄積エネルギーと放射の関係が厳しくなり、広帯域と高効率の両立が難しくなります。整合回路でS11を改善しても、散逸損失まで放射に変わるわけではありません。
複数共振を合わせて帯域を広げる手法もありますが、帯域全体のパターンと偏波を確認します。小型化40%、8 dBi、500 MHz帯域といった組合せは特定の測定条件がなければ性能根拠になりません。
PCBスロットと導波管スロットアレイ
PCBの単体スロットと金属導波管の複数スロットによるアレイは、給電とモードが異なります。アレイは各開口の結合量と位相を設計し、総開口によって指向性を作ります。
どちらも筐体、ケーブルと近接物体の影響を受けます。5G装置では放熱板や配線もアンテナの近傍条件を変えるため、熱設計とRF配置を同時に確認します。スロットを切れば自動的に放熱性能も上がるという意味ではありません。
小型化を検証する測定
| 項目 | 必要な比較 |
|---|---|
| 外形 | 接地面、空洞と給電を含む総占有寸法。 |
| 整合 | 同じ基準面と動作帯域。 |
| 放射 | 効率、実現利得とパターン。 |
| 実装 | 筐体、近接部品と温度条件。 |
| 再現性 | 材料と加工ばらつき。 |
基本原理はスロットと相補アンテナを参照できます。開口の面積だけではなく、必要な帯域と放射性能を保った状態で小型化を比較してください。