直線導波管の長さに「10波長以下」という一般的な上限はありません。長さは許容損失、位相・遅延、支持、製造・輸送と環境条件から決めます。一体で作る部品長と、複数部品を接続した経路全長も別です。
波長を超えると使えないわけではない
均一な導波管は、そのモードが伝搬できる帯域で波を運びます。長くすることで損失と遅延が増えますが、10λを超えた瞬間に伝搬できなくなる境界はありません。
空気充填WR-90のTE10を10 GHzで使うと、自由空間波長は約30.0 mm、管内波長は約39.7 mmです。1 mは約25.2管内波長ですが、それだけで不適合とは判断できません。
許容損失から全長を見積もる
低反射の一次予算ではLtotal = αℓ + ΣLpartsを用います。αは同じ周波数・条件のdB/m、ℓはmです。接続部品の損失を含め、データの基準面をそろえます。
仮に許容総損失1.0 dB、他部品0.3 dB、直線部α = 0.15 dB/mなら、残りからの長さは(1.0 − 0.3)/0.15 ≈ 4.7 mです。これは仮定例で、特定製品の推奨長ではありません。
実際には温度、製造ばらつきと測定不確かさの余裕も必要です。大きな反射がある場合、単純なdB和だけでなくSパラメータの接続解析を使います。
位相と遅延を確認する
一つのモードでβ = 2π/λgとすると位相長はβℓです。長さ、温度と周波数の変化は位相を変えます。アレイ給電や干渉計では、損失より位相差が厳しい条件になる場合があります。
群遅延は群速度と長さに関係し、遮断付近では分散が大きくなります。パルスや広帯域信号は中心周波数の位相だけでは評価しきれません。
一体長と継ぎ足しの違い
長い一体部品は接続数を減らせますが、加工、真直度、搬送、取り付けと交換が難しくなる場合があります。分割すると扱いやすくなる一方、フランジの整合、損失と密閉箇所が増えます。
どの長さでも支持間隔を一律に決められるわけではありません。断面、材料、振動、姿勢と温度変化に応じて、たわみや熱膨張を検討します。
圧力や屋外条件も全経路で考える
密閉が必要なら、フランジ、窓、乾燥系と許容漏れを含めます。単なる直線長だけから真空適合や加圧性能は決まりません。軌道上で必ず起きる故障や損失額を、根拠なく長さの制限理由に使うべきではありません。
楕円導波管や可撓部は、矩形剛体部とは別の寸法、モードと取り扱い条件を持ちます。屋外長距離路では排水、結露と機械的保護も設計に含めます。
発注前に提示する情報
- 開始・終了周波数、モードと許容反射。
- 全経路図、直線部長、曲がりと接続部。
- 許容総損失、位相差と遅延の要求。
- 平均・ピーク電力、温度、圧力と振動。
- 支持、輸送寸法、分割と交換の条件。
納入後は寸法、面と内部状態を確認し、指定基準面で測定します。実装後に性能が変わった場合、応力や接続も含めて調べます。
伝搬の式はWaveguide Mathematics、減衰の条件はWaveguide Lossを参照できます。最長部品長は製造条件と個別図面を合わせて確認してください。