スパイラルアンテナは広帯域や円偏波を実現できる放射構造ですが、それ自体がEMIを消すフィルタではありません。干渉への影響は帯域、偏波、パターン、給電と周辺構造で決まります。広帯域化は不要信号を受ける範囲も広げる場合があります。
平面スパイラルの基本構造
代表例には半径が角度に比例して増えるアルキメデス形と、指数的に増える等角形があります。二本の腕を用いる平面構造は、円筒状に巻いたヘリカルアンテナとは異なります。
有限な外径、給電部の内径、基板、バランと背面構造で使用帯域が制限されます。周波数非依存アンテナという理論上の分類でも、実製品が無限帯域で使えるという意味ではありません。
1.広帯域と整合を評価する
周波数によって主に放射へ寄与する領域が変わり、広い範囲で動作する設計が可能です。ただし全製品が1~18 GHzというわけではありません。使用帯域と帯域外応答を実測して判断します。
必要な信号だけを通したい場合は、受信機のフィルタやダイナミックレンジも重要です。整合が良いことと、帯域内の妨害を拒否できることは別です。
2.円偏波と干渉の関係
設計された方向では円偏波を得られます。希望波と妨害波の偏波が違えば受信比が変わりますが、旋回方向、軸比、入射角と反射環境が影響します。「円偏波ならクロストークを40%削減」という固定値はありません。
理想的な直線偏波と円偏波の組合せでは偏波損失は3 dBです。これは特定の条件の比率であり、すべての干渉に3 dBの改善があるという意味ではありません。
背面を持たない平面スパイラルでは両側へ放射し、観測方向によって円偏波の旋回方向の解釈が変わります。受信側と同じ定義を用いて確認します。
3.給電と背面構造を含める
不平衡な同軸から平衡構造へ給電する場合、バランとケーブル外側の電流を評価します。ケーブルが意図しない放射部になると、配置でパターンや測定値が変わる場合があります。
空洞や吸収材を背面に設けると後方応答を抑えられることがありますが、反射、整合、帯域と効率のトレードオフがあります。吸収材がエネルギーを消費する分は性能予算へ含めます。
自己補対アンテナのインピーダンス
理想的な無限平面・自己補対構造を自由空間で考えると、入力インピーダンスはη0/2 ≈ 188.4 Ωとなります。実物では有限寸法、基板、給電と背面の影響を受けます。
この理論を「放射抵抗が低いからEMIが小さい」と読み替えることはできません。50 Ω機器との接続には適切な変換とその帯域を確認します。
EMIへの効果をどう試験するか
- 妨害の周波数、方向、偏波と発生条件を記録します。
- アンテナ、バラン、ケーブルと受信系を一式として評価します。
- S11だけでなくパターン、軸比と効率を測ります。
- 同じ信号と妨害条件で品質やエラーを比較します。
- フィルタや配置変更の影響を分けて確認します。
アンテナを替えた効果と、受信機の飽和やケーブルの共通モード対策を混同しないことが重要です。測定方法を伴わない衛星事故や削減率を選定根拠にしないでください。
構造、理想インピーダンスと背面の影響はAntenna-Theoryのスパイラルアンテナ解説に示されています。