アンテナゲインは、校正された基準アンテナと置き換え、同じ入射界・偏波・受信系で比較して測定できます。RSSI、受信機の目盛りや低いVSWRだけでは絶対利得dBiは測れません。補正と不確かさを含む手順が必要です。
ゲインとdBiの意味
利得は特定方向への放射を等方性アンテナと比較した量で、放射効率を含みます。実現利得にはポートの失配も含みます。周波数、方向、偏波と基準面を明示し、基準値と測定結果の定義をそろえます。
dBiは等方性に対する比、dBmは1 mWを基準とする絶対電力です。2 dBiと5 dBiの差は3 dB、同じ条件の対象方向では約2倍の電力比ですが、全方向のカバーが倍になる意味ではありません。
1.信号源と基準を準備
安定した信号源、送信アンテナ、試験周波数の校正済み基準、測定受信機と再現性のある支持具を用意します。ケーブルと変換器の損失は選んだ基準面まで評価します。
雑音より十分高く、圧縮・飽和より低い範囲で測ります。VNAのS11は整合の情報であり、利得測定の代用ではありません。能動アンテナなら放射部と増幅部を分けて扱います。
2.距離と反射を確認
電気的に大きな開口ではR ≥ 2D²/λが遠方界条件の目安の一つです。両アンテナの寸法と必要精度を考慮します。この条件だけで地面や壁からの反射がなくなるわけではありません。
D = 0.60 m、12 GHzなら約28.8 mです。この例では3波長では足りません。短距離で測る場合は、適切な近傍界変換や評価済みコンパクトレンジなど別の手法が必要です。
3.基準アンテナを測定
位置と偏波を合わせ、必要なら角度を走査して最大方向を確認します。機械軸と電気的な最大は一致するとは限りません。周波数、位置、受信値と環境を記録します。
4.被測定アンテナへ置換して計算
その他の条件と受信損失が同じなら、G試験(dBi) = G基準(dBi) + P試験(dBm) − P基準(dBm)です。
受信経路の損失が変わる場合は、正の損失dBとしてL試験 − L基準を補正します。失配は選んだ利得定義に応じて処理します。
例として基準15.0 dBi、基準受信−45.0 dBm、試験受信−42.5 dBmなら差は+2.5 dBで、追加補正なしの結果は17.5 dBiです。特定製品の試験値ではなく計算例です。
5.再測定と不確かさ
基準を戻してドリフトと再現性を確認します。必要な帯域・角度で繰り返し、単一点の最大値でサイドローブやヌルまで評価したことにしません。
- 基準の校正不確かさ。
- ケーブル損失、曲げと再接続。
- 位置、距離と偏波。
- 反射と入射界の安定性。
- 受信機の雑音、直線性とドリフト。
ゲインから距離を読み替える条件
自由空間で他の条件と受信閾値が同じなら、片側の利得+3 dBは距離比で約√2に対応します。3 dBで距離2倍という一般化は誤りです。屋内の反射や干渉では単純な外挿もできません。
原理はFriisの関係を参照してください。Dolph Microwaveのアンテナも利得定義、帯域と試験条件をそろえて比較します。