アンテナを比較する六項目は有効帯域、整合、効率、利得、パターンと偏波です。それぞれが別の性能を表します。VNAはS11などポート特性を測れますが、単独では放射効率、利得とカバー全体を決められません。
1.周波数と有効帯域
中心周波数だけでなく、要求を満たす下限と上限を指定します。整合帯域が広くても、必要なパターンや偏波品質の帯域は狭い場合があります。
比帯域は(fhigh − flow)/fcenterと表せ、中心の定義も記します。2.40~2.50 GHzなら幅100 MHz、算術中心2.45 GHzで約4.08%です。100 Mbit/sのデータ速度という意味ではありません。
2.インピーダンス、S11、VSWRと反射損失
50 Ωや75 Ωなどの基準に対して整合を評価します。反射係数Γに対しVSWR = (1 + |Γ|)/(1 − |Γ|)、反射電力比は|Γ|²です。
S11のdB表示は20 log10|Γ|で通常負、リターンロスは−20 log10|Γ|で正です。「S11 ≤ −10 dB」と「リターンロスが負の10 dB以下」を混同しません。
| 条件 | VSWR | 反射電力比 |
|---|---|---|
| S11 = −10 dB | 約1.92 | 10% |
| S11 = −20 dB | 約1.22 | 1% |
| VSWR = 2 | 2 | 約11.1% |
合否値はシステムで決めます。抵抗負荷も良好に整合できるため、低VSWRだけでは高効率アンテナと判断できません。
3.放射効率と総合効率
放射効率は受け入れた電力に対する放射電力です。受動一ポートで基準面が一致するモデルではηtotal = ηrad(1 − |Γ|²)と書けます。
放射効率80%、S11 = −10 dBなら総合効率は72%です。80%という放射効率をS11だけから求めることはできません。
4.利得と指向性
線形値でG = ηradDです。Dは空間的な集中、Gは放射に関わる損失を含む利得です。実現利得には不整合も含みます。最大値か特定方向かを確認します。
dBiは等方性放射体、dBdは半波長ダイポールを基準とし、約0 dBd = 2.15 dBiです。dBmは1 mW基準の絶対電力で、dBiとは交換できません。
4 dBiの線形利得は104/10 ≈ 2.51です。これは指定方向での比で、全方向で2.51倍の電力を新しく生むという意味ではありません。
5.パターンとビーム幅
半値幅は主ローブ最大から3 dB低下する二点間の角度です。両主要面、サイドローブ、前後比とヌルを見ます。無指向性は通常方位方向を指し、球全体で均一ではありません。
最大利得が高くても必要方向をカバーできない場合があります。筐体と支持を含む実装で、複数周波数のパターンを確認します。
6.偏波とリンクの互換性
直線偏波では両端の向き、円偏波では回転方向の定義と軸比を確認します。円形開口だから円偏波というわけではありません。
偏波結合損失はケーブルや不整合の損失とは別です。良好なS11でも向きの合わない偏波を検出できません。
測定方法を対応させる
ポートには校正したVNA、パターン・利得・偏波には校正した放射測定、効率には適切な測定法を使います。近傍界から遠方界を再構成する場合はプローブや変換の補正も必要です。